「芸能界で思いどおりにいかないときでも、いつお声がけいただいてもいいように自分の人生を充実させていたので、落ち込んだりしなかった」
川島さんの代役の話が来たときも、1~2日で返事をしなければならなかったが、自己責任が伴う大きな仕事の判断を全部自分で行い、挑戦してきた経験が、即決の返事を後押しした。
バブル女子がなぜパワフルなのか……。渡辺さんはこう言う。
「やったことが結果として出るというのをわかっている世代だからかな」
バブル世代のタレントで忘れてはいけないのが杉本彩さんだ。「オールナイトフジ」に、ハイレグ水着、学園祭の女王など、10代のころからずっと芸能界で活躍してきた。最近では動物愛護の活動や、バラエティー番組でも人気を集める。
20代のころは、常に走っている状態。物事をおおらかに捉えられるようになったのは40代半ばを過ぎてからだという。
派手なイメージが強いが、プライベートでは「石橋をたたくほう」(杉本さん)というから意外だ。ラグジュアリーな体験をしてきたことが無意識に体に染みつき、今に生かされているのだという。たとえば食だ。
「食べることの楽しみは、何を着てどこへ出かけるのかまで含めます。これはなかなか余裕がないとできないこと。でもそれが人生において大切なのだと学びました。TPOに合わせたドレスアップ、美しく振る舞うことなど、見えは一つの美意識なのです」
一方、若者たちの慎重な生き方に、もどかしさを感じることもある。
「もっとはじけてもいいのに。失敗も含めいろんな体験を通して、学んでこその人生だから。やんちゃな人が多かった時代を生きてきた私はそう思います」
「50!SIGN(ゴーサイン)プロジェクト」を進める「ビースタイル」の「アラフィフ主婦はたらき白書2016」調査によると、働いている人のほうが働いていない人より幸せを感じている。さらに、6割以上の人が、「仕事をすることで、外見がきれいでいられる」と回答した。50歳を過ぎても健康で、20年といわず、30年、40年と働き続けられたら最高だ。この取材のさなか、95歳で長編小説『いのち』を出版し、現在もまだ執筆を続ける瀬戸内寂聴さんと話す機会を得た。
「年齢なんて、関係ないですよね」
と記者が尋ねると、
「その人がね、35だと思ったら、もう35なの。年齢と精神は必ずしも比例しない。私なんて、よく75って言うのよ(笑)。25って言ったこともあるけれど(秘書に)怒られましたね(笑)」
と寂聴さんはけらけらと屈託のない笑みを浮かべた。多少の人生の凸凹も全部受け入れて明るく生きる。バブル女子たちの未来を見たような気がした。(本誌・大崎百紀)
※週刊朝日 2018年3月2日号より抜粋