樺太にはまったく予期しなかった形でソ連が攻めてきて、8月15日の後も戦闘が続いたわけです。沖縄戦のことは皆さんご存じでしょうが、日本の北でも悲劇が起こり、戦後に苦労された方がいたことを知っていただければと思います。

 前半の樺太のシーンでは、私と阿部寛さんが夫婦役を演じます。阿部さんとは、事前の話し合いは全然しませんでした。そういうことをしなくても、なんとなく顔を見ているだけで「この人、旦那さんなんだ」と思えちゃうんです。私、おめでたいタイプなのかもしれません。阿部さんにとってはだいぶ年上なので申し訳なかったですけど(笑)。

 みんなでコーラスをするシーンがあるんですけど、阿部さんは歌が上手なので驚きました。後ろから聞こえる声があまりにも素晴らしくて、惚れました(笑)。

 堺さんはまじめな方。私がやっているラジオにゲストで出ていただいたときに、「趣味は?」と聞いたら「芝居です」と。その通り、役作りや資料調べなど完璧になさる方ですね。

 ウニが大好きだとうかがいました。去年は資源保護のため、稚内ではエゾバフンウニは採ってはいけなかったんです。それで稚内でのロケのときには、地元の方が礼文島から取り寄せてくださって。私も好きなんですけど、「北のカナリアたち」(2012年)のロケで一生分のウニをいただきましたから(笑)、堺さんにいっぱい食べてもらおうと。堺さん、喜んでましたね。

 ――読者へのメッセージを頼むと、和歌を書いた。

 古今和歌集にある詠み人知らずの、大好きな歌です。皆、命を大事にしていこうということですね。

 長く映画女優を続けられたのは、健康だったからでしょう。

 体調管理には気をつけ、趣味の水泳も続けています。今回は、ロケ先にバランスボールとゴムのチューブを持っていきました。たまたま稚内のホテルの隣が体育館でしたので、撮影の後でマシンを使ったり、館内のウォーキングコースを歩いたりしました。

 体に綻(ほころ)びは出てきていますけど、自分でそれを繕いながら、年を重ねていこうと思っています(笑)。

(取材・構成/本誌・菊地武顕)

週刊朝日 2018年2月23日号