キュートな甘い歌声。舌足らずな口ぶりで、甘えるような歌声を聞かせたかと思うと、きわどい歌詞をこともなげに歌ってみせる。シンガー・ソングライターのSZA(本名=ソラーナ・イマーニ・ロウ)の日本デビュー・アルバム『Ctrl(コントロール)』がこのほど発表された。
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アメリカでは昨年6月に発売された。同年中に出したシングル「ラヴ・ガロラ feat.トラヴィス・スコット」と「ザ・ウィークエンド」がそれぞれヒットし、後者はR&Bチャートの1位に。『Ctrl』も全米チャートの3位を記録し、年末には各種の年間ベスト・ランキングで上位に入っていた。
SZAは1990年11月8日、米ミズーリ州セントルイスで生まれ、ニュージャージー州のメイプルウッドで育った。母親はクリスチャンだが、父親はイスラム教徒。厳格なムスリム家庭に育ち、ムスリム系の学校に通っていたこともあるという。
幼い頃からジャズに親しみ、R&B/ヒップ・ホップ、ロックにも関心を広げた。歌手を目指したのはラッパーだった兄の作品に関わったことがきっかけだった。シンガーとしては、エラ・フィッツジェラルド、ローリン・ヒルに、音楽的にはウータン・クラン、RZA、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ジャミロクワイ、ビョークなどに影響を受けてきたという。
2012年に自主制作のEPアルバム『See.SZA.Run』を発表。翌年にもEPの『S』、次いでケンドリック・ラマーが所属するTDEレーベルから『Z』(14年)を出している。
今回の『Ctrl』の発表まで3年のブランクがあったわけだが、それにはSZAの意向とTDE側の折り合いがつかなかったという事情がある。彼女自身、納得のいくまで録音を繰り返し、最終的にはTDEが150~200曲入りのハード・ディスクを彼女から没収し、完成させたという。