難民収容施設をつくることを明らかにしたのは、何よりも北朝鮮に対する強烈なメッセージである。これまでは、難民を恐れて北朝鮮のレジームを壊すのを回避してきたのだが、難民がなだれ込んでも平気だぞ、と宣言したことになる。
さらに、トランプ大統領が訪中して習主席と会談した後、昨年11月に習主席は側近の宋濤・中央対外連絡部長を北朝鮮に派遣した。
だが金正恩委員長は宋濤氏に会わなかった。会うことを拒んだわけだ。この出来事を、日本を含む世界のメディアは、習主席が金委員長を甘く見たための失敗だと見た。
宋濤氏は格が低すぎて、ばかにされたと怒った金委員長は会見を拒んだ。そのために、習主席はメンツをつぶされた、というわけだ。
だが、私が信頼している習主席をよく知る人物は、金委員長が習主席の特使とは会見しないことを予見していたので、メンツをつぶされないために、わざと格下の人物を特使として派遣したのだろうと語った。
逆に言えば、習主席は、金委員長と対話する気持ちがないことを示した、ということではないのか。習主席が北朝鮮の核保有を認めず、北朝鮮をかばう気持ちが薄れたとなると、米中が手を組める可能性が生じてくる。私は、これは日本の出番で、かつて小泉純一郎首相が金正日総書記に対して行ったように、日本が米朝の対話の仲介役となるべきではないか、と考えている。
※週刊朝日 2018年2月2日号