親交の深かった作家の安部龍太郎さんは言う。
「同じ福岡県出身の作家としてすごいスピードでいくつも賞を取られた。驚いたしライバル心もありました。葉室さんの目線は低い。時代の苦難の中でも自分を見失わずに生き続ける人物に寄り添い、原稿を書き上げている。新聞記者をされていて視野も広く見識も深かった。いつも相手のことを考えていた。サービス精神旺盛で味わいある冗談を言って場をなごませた」
冒頭のインタビューの件に戻る。11月中旬に娘さんから「実は先週、葉室が体調を崩して入院となりました。幸いすぐに症状に気がつき、病院で適切な処置を取っていただけたので深刻な状態ではありません。現在も入院療養中で、再発を防止するため上京することができません。葉室がメールにて質問の返事をしたいと申しております」という連絡を受けた。
このときから1カ月余り後の訃報(ふほう)だ。私を含めファンはさらなる活躍を期待していた。何よりご本人の無念を思う。残念でならない。合掌。(山本朋史)
〈おことわり〉 2017年4月14日号から連載を開始した「星と龍」は作者の葉室麟さんご逝去に伴い、11月24日号の31回をもって未完のまま終了とさせていただきます。ご了承ください。『星と龍』は小社から出版される予定です。週刊朝日編集部
※週刊朝日 2018年1月19日号