「そもそも芸能人に限らず韓国全体の自殺率自体が高い。芸能人はニュースになりますので、特別に多いように感じるのかもしれません」と韓国の全国紙記者は言う。
韓国の自殺率はOECD(経済協力開発機構)加盟国中、13年連続1位で、10〜30代の死亡原因のトップは自死だ。投身自殺が多い漢江(ハンガン)に架かるいくつかの橋の欄干には数年前、韓国で挨拶代わりに言う「ごはんたべた?」や、「しんどかったんだなあ」など自殺を思いとどまらせるための言葉が刻まれ、夜間は点灯して文字が浮かび上がるようになっている。
「韓国は熾烈な競争社会で、一度、落伍してしまうと上にはいけない構造です。若い世代はどんなにがんばっても就職もままならない人のほうが多い。将来に希望が見いだせないから、結婚も子どももあきらめるという悲しい世代。ジョンヒョンさんがなぜ死を選んだかは本人しかわかりません。しかし、アイドルの場合、幼いころからデビューするために厳しいレッスンに耐え抜き、ほんの一握りの勝ち組となっても、競争は延々と続きます。常に強いストレスの中にいます」(前出の記者)
公開されたジョンヒョンさんの遺書には、「私は内から故障してしまった。ゆっくりと私を蝕んだ憂鬱は、結局、私をのみ込み、私はそれに勝てなかった」と内なる叫びが綴られていた。27歳だった。合掌。(菅野朋子)
※週刊朝日 2018年1月5-12日合併号