
肌を休ませるために、メイクもスキンケアもしないことを“肌断食(はだだんじき)”というらしい。ならば脳を休ませるために、何も考えないことを「脳断食(のうだんじき)」と名付けたらどうだろう。イライラしてぐちゃぐちゃになったアタマをパチンとリセットする、大人気の脳断食法を紹介する。
「ああ、イライラする。俺のせいじゃないのに、なぜ俺が客に頭を下げさせられる?」「冗談じゃないよ。なんでアイツばかりが出世するんだ。たいして仕事もできないくせに役員に媚(こび)売りやがって」「ちょっと何よ、あの女。自治会の集まりなのに、なんであんなに胸の開いたセーターを着てくるのよ。自分のこと美人だと思ってるんでしょ」「ウチの会社の後輩、ブログが人気なんだって。自慢しちゃってさ。いやらしいったらありゃしない」「あ~あ、やっぱりジジイ受けする女は、世渡り上手で得よねえ」
会社で、プライベートで、こんなふうにザワザワした思いを抱いた記憶は誰にでもあるのではないだろうか。えっ、全然ない? そうですか。そりゃ、お幸せですね。でも多くの人間は心に修羅を抱えているもの。人間とは実に悩ましい生き物なので……。しかし悩ましい気持ちばかりを抱えていると、アタマ爆発しそうになりますからね。たまには何も考えない時間が欲しい。ああ「脳断食」がしたい!
「そんなときにはぜひ、坐禅を組むことをおすすめします。人間の雑念というものは絶対なくなりませんよ。でもなくならない以上はどうやってその雑念とつきあっていくか、を考えなければなりません。坐禅というのは言ってみれば、草刈りのようなもの。日々どんどん伸びてくる雑草(つまり雑念)を刈り、常に心の中をフラットに、新鮮に保つ手段です」
と語りかけてくれたのは、臨済宗妙心寺派・龍雲寺住職の細川晋輔さんだ。
坐禅は何かを求めて行うものではない。
「坐禅は『心のゴミ捨て場』です。坐禅は何かを得るためにするのではなく、心の中にある様々なものを『捨てる』ためにするのです」