デモのような現実世界だけではなく、インターネット上でのヘイトスピーチへの対応も喫緊の課題だ。
「インターネットによる人権侵害」に関する設問では、「他人を誹謗(ひぼう)中傷する情報が掲載されること」(62.9%)、「他人に差別をしようとする気持ちを起こさせたり、それを助長するような情報が掲載されること」(39.6%)が上位に挙げられている。「他人を誹謗中傷する情報」のすべてではないにしても、そのなかにヘイトスピーチは少なからず含まれている。「差別の扇動や助長」を問題視する回答も、2007年調査の25.7%から14ポイントも増加している。
拡大するヘイトスピーチに歯止めをかけるべく、2016年6月には「ヘイトスピーチ対策法」が施行されたが、国や自治体の努力義務を定めた理念法だったこともあり、当初から実効性の乏しさが指摘されていた。ヘイトデモについては、自治体が主催団体の施設利用を拒否したり、裁判所が禁止の仮処分決定をしたりする動きはあったが、インターネットのツイッターやまとめサイトなどでは、依然としてヘイトスピーチが後を絶たず、その多くが放置されたままだ。
今回の世論調査は深刻な日本の実態を示しており、客観的な数値で同法のネット上でのヘイトスピーチ抑止効果が乏しいことが明らかになっている。
2018年は、さまざまなデータを検証し、ツイッターやヤフー、LINEなど、ヘイトの温床となっているプラットフォーム事業者を交え、蔓延(まんえん)するヘイトに歯止めをかける実効策を始める年にしなければいけない。
※週刊朝日 2017年12月22日号