ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られるジャーナリストでメディア・アクティビストの津田大介氏。「ヘイトスピーチ抑止」の実態についてデータをもとに解説する。
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特定の人種や民族への差別をあおる「ヘイトスピーチ」を日本社会はどのように見ているのか。内閣府が12月2日、5年ぶりに公表した「人権擁護に関する世論調査」の結果からその一端が垣間見える。
今回の調査のポイントは、新たにヘイトスピーチに関する項目が追加されたこと。「ヘイトスピーチを伴うデモ、集会、街宣活動の認知度」については、半数を超える57.4%が「知っている」とした。知った経緯については、複数回答で「テレビやラジオ、新聞などの報道」が92.2%と最も高く、次いで「インターネットで見た」が26.1%。「直接見たり聞いたりした」割合は9.1%とほかに比べると低いが、実際に街角でヘイトデモに遭遇した割合と考えれば、決して無視できる数字ではないだろう。
問題はヘイトデモに触れた際に、人々がどのように感じたかだ。調査によれば約半数が「日本に対する印象が悪くなると思った」(47.4%)、「不愉快で許せないと思った」(45.5%)と否定的に認識している。
一方で、「自分には関係ない」(12.1%)とする意見や、「『表現の自由』の範囲内だと思った」(17%)、「ヘイトスピーチをされる側に問題がある」(10.6%)と積極的に容認する意見も少なくなかった。