ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られるジャーナリストでメディア・アクティビストの津田大介氏。米ワシントン・ポスト紙が始めた新機能について、津田氏が解説する。
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米ワシントン・ポスト紙は11月9日、ウェブサイトのオピニオン(論説)記事に、自社の主張と対立する記事をレコメンド(お勧め)する新機能「カウンターポイント(反対意見)」を導入した。これまでオピニオン記事の末尾には、関連記事の見出しが掲載されていた。今後はその部分に意見の異なる記事が、明示的に表示されるようになる。
例えば、現在米国で議論が進んでいる税制改革案を支持するオピニオン記事を読み終わると、その改革案に反対する記事が紹介される。現在は一部の記事にのみ導入されているが、いずれはすべてに拡張していくということだ。
報道といえば、大きく分けて日々の出来事の事実関係を伝えるストレートニュースと、社会問題などに対する考え方や視点を提供するオピニオン記事の2種類がある。同紙の論説担当編集者フレッド・ハイアット氏は、カウンターポイント導入の意義について「幅広い視点を提供することで、読者がより多くの情報に触れ、対話を促進することができる」と説明する。