3月21日の委員会では、「円安は日本をインフレに導くのではないかと思うがどうか?」と問うた。

 岩田副総裁は「短期的には為替レートの変動に伴って輸入物価が上がるとか、あるいは、そのほかでもエネルギー価格などいろんな要因が物価の動向に作用しますけれども、物価の基調を規定する要因は、やはり経済全体の需給ギャップ、それと中長期的な予想物価上昇率がどうなるかというんで、やや長い目で見た場合には為替レートが物価上昇率にどのような影響を与えるかというのは一概には言えない」「日本銀行は、決して円安に依存する形で2%の物価安定目標を達成しようとする考え方は持っておりません」と答えられた。

 こりゃダメだ。BOEのように「自国通貨安は物価上昇を促す」と明快な考え方を持っていない。

 円安になれば日本の優れた生産物が外国人からみて安くなり、需要が盛り上がる。需給ギャップも大幅に改善すると思う。自国通貨安こそが、CPI2%公約達成に不可欠なこととの認識をまず持つべきだ。

 10月31日付の日経新聞朝刊「自国通貨高、世界で抑制」の記事では、抑制の理由について<通貨高だと輸入物価の下落を通してさらに物価上昇が鈍る可能性がある>と報じている。

 岩田副総裁はどんな思いで読まれただろうか?

週刊朝日 2017年11月24日号

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