“強い横綱”のイメージがないのは、休場が多いことはもちろん、逆境での引きか、と納得する。一方で、土俵の外ではあの柔和な顔からにじみ出る人柄の良さが評価されているようだ。
「報道陣で彼を嫌いな人間はいないと思う。鶴竜の付け人の弟が新弟子にいるが、『(鶴竜の)人柄に引かれて(井筒部屋に)入りたいと思いました』と。素顔を一番知っている付け人の弟がこう言うんだからね」(ベテラン記者)
そんな鶴竜は、言わずと知れたモンゴル籍。夫人もモンゴル人で、将来は角界に残らないだろうと目されていたが……。
「引退後は米国に渡り、そこで会社を経営する姉の仕事を手伝う、という話でした。それが最近、相撲協会に残りたい、という感じになってきた、と関係者から聞きました」(同前)
親方として角界に残るには日本国籍の取得がルール。進退をかけた場所と注目される中、気負いなく穏やかな様子で場所前の調整をしていると報じられているが、既に決断している、ということかもしれない。(岸本貞司)
※週刊朝日 2017年11月17日号