このドラマにおける不倫はミッションであり、強迫観念だ。「ケータイ大喜利」ならぬ「ケータイ愛人教授」と化し、井伏は男たちに随時アドバイスを送る。「おはようございます、○○さん」、挨拶の後に名前を呼ばれたら愛人関係成立確率23%。二人きりの空間で会話し、いい雰囲気になったら確率は32%に上昇。

 鉄の意志で遂行しなければならない不倫ミッションは、時に危機的状況を迎える。愛人候補の女とレストランに入ったら、偶然後ろに妻とその女友達が来店。まだ気づかれていない。どうすれば妻にバレずに、愛人候補に不審に思われずにここを脱出できるのか。

 その鬼気迫る緊迫感たるや、映画「大脱走」でドイツ兵にフランス語で応対してたのに最後にうっかり「サンキュー」って言っちゃってバレたー!って時みたいに冷や汗出る出る。不倫は常にサスペンスなのだ。

 ところでこのタイトル「フリンジマン」て、プレスリーの衣装によくついてるフリンジ(袖のビラビラ)のこと? いやいや不倫時に助けてくれるマンのこと?と思ってたけど。なんと「不倫自慢」らしい!? まったく気がつかなくて目からウロコだよ、ラマン! 男は不倫が自慢なのね。

週刊朝日 2017年11月10日号

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