と話す。豊山さんによると、「歯と歯の間」と「歯と歯肉の境目」、この二つのケアは歯周病予防には絶対必要。「奥歯の噛み合わせの溝」とあわせて、最低でもこの三つのケアは怠らぬようにしたい。
豊山さんオススメの方法は、洗面所にいすを置いて座り、手鏡を用いて、歯や歯肉を見て、時には肘をついてブラッシングをすること。歯ブラシの柄をペンをもつように握り、力を入れず、ブラシの毛先が軽く歯の面に触れたか触れないか、ギリギリのやさしいタッチで行おう。
前出の、東京医科歯科大教授の荒川さんは、次のようにアドバイスする。
「歯ブラシはなるべくヘッドの小さいものを選びましょう。歯ブラシは奥歯のだいたい1、2本しか当たりません。ゴシゴシこすらずに、当てたところだけ1、2ミリ動かし、ずらします」
残念ながら、一般に使われている「歯ブラシ」だけでは、汚れは6割しか落ちない。「歯間ブラシ」や「デンタルフロス」も取り入れて、歯の隙間や、奥に詰まった汚れを都度流す習慣をつけると良い。
歯科衛生士の豊山さんは、歯と歯の隙間はフロスで、歯肉に近い部分は歯間ブラシでのケアを勧める。ただ歯間ブラシを内側から入れるのは難易度が高い。隙間のある奥歯だけで良さそうだ。ちなみに隙間のない前歯にはNGと豊山さんは助言する。
「どこにどんなふうにブラシを当てたらいいのかわかってくると、口の中のケアが上手になって、スッキリ。気持ち良くなりますよ」
歯科医師の森さんも、
「歯に何か詰まっていると唾液が到達しないので、口腔ケアは最初にフロスを使うと良いでしょう」
とフロスの使用を勧める。 こうした道具を使いこなすのに、歯磨き剤は必須ではないという。東京医科歯科大教授の荒川さんは説明する。
「ブラシが当たらなければ汚れはとれませんから、泡がたくさん出る歯磨き剤を使うと、ブラシがどこに当たっているかわかりません。まずは何もつけずに磨くのが理想です。すっきり感がほしくてどうしても使いたかったら、磨いた後にほんの少し使うといいでしょう」
電動歯ブラシの場合は、専用の歯磨き剤を使おう。(本誌・大崎百紀)
※週刊朝日 2017年10月13日号