林:国民の3分の1じゃないですか。
前原:そうです。そのうちピンピンコロリで亡くなる人は一握り。だから介護施設もマンパワーも足りない。不安だらけです。そういうお年寄りの不安を解消し、若い人たちも安心して結婚し、子どもを持てる社会にするために再分配政策を手厚くする。言ってみればヨーロッパ型の社会にしていくんです。
林:ヨーロッパ型の社会というと?
前原:福祉が充実しているかわりに、税や社会保障の保険料が高い社会です。でも、お年寄りは貯金がなくても安心して老後を暮らせる。若い人には住宅手当も出るし、子どもが生まれたら支援もできる。低所得の夫婦も安心感が持てる。そういうアプローチの社会をわれわれがモデルとして提示する。これが民進党が目指す社会像で、「All for All」というんです。「みんながみんなの不安を解消するために、ある程度の負担をしてくださいね」という運動をやろうとしてるんです。
林:素晴らしいですが、民主党政権のときの子ども手当のように、具体的な数字を示したほうがわかりやすいし、人の心を打つ気がします。
前原:私がいま言ったのは社会像です。実現するために伝わりやすいキャッチコピーをつくるのが、今回の選挙の一つのテーマです。
林:今つくってるんですか。
前原:考えています。広告会社とブレインストーミングをしていて、先日私が30分プレゼンテーションをしました。政策ブレーンの井手英策先生(慶応義塾大学経済学部教授)や、議員のメンバーも入ってもらって、この社会像を実現するためのキャッチコピーを議論しました。それを選挙で出したいと思っています。
林:一庶民としては、その議論にふつうのおばさんやおじさんを2、3人入れてほしいなと思います。(構成 本誌・直木詩帆)
※週刊朝日 2017年10月13日号より抜粋