前原:小沢先生はリアリストですから、「政治家は権力を取らないと意味がない」が一貫したご主張です。「そのためには小選挙区では野党がまとまれ。あなたは野党第1党の党首なんだから、みんなを束ねるよう努力しなさい」とおっしゃってます。
林:小沢さんご自身は、もうあんまり前に出ないんですか。
前原:いや、そんなことはないですよ。先日羽田孜先生が亡くなられて、私、葬儀委員長をさせていただきましたが、小沢先生が友人代表で弔辞を読まれたんです。「孜ちゃん、今ごろは昔の仲間と楽しく話をしてるんだろうな。もう少ししたら俺もその輪に入れてくれ。でも、その前にもう一度政権交代可能な2大政党をつくって政権交代を実現したい。それを孜ちゃんに報告するまで待ってくれ」と話されていました。
林:そもそも小選挙区制は、二大政党制にするためのものですよね。
前原:そうです。政権交代可能な二大政党制の一翼をつくりたい。そのために、今度の選挙では野党がかたまりをつくれるような状況にまで持っていきたいなと思っています。
林:実現できそうですか。
前原:まだ何とも言えませんね。野党がバラバラに闘うと安倍さんの思うツボですから、今いろいろ策を練っています。
林:細野さんとも話し合って?
前原:ま、誰と話し合ってるかは、ちょっと今は言えませんけど(笑)。過去のいろんな恩讐を乗り越えて、人の好き嫌いではなく。
林:いい言葉ですね。
前原:旧民主党は、人の好き嫌いで政治をしてしまったことに失敗の原因がある。われわれは好き嫌いではなく、まさに使命感と国民に対する責務として、野党がまとまるよう頑張っていきたいと思っています。
林:意地悪な人からは「なんだよ、あんなやつと仲良くして。ポリシーはどうしたんだ」と言われそう。
前原:それは言われますよ。でも、大同小異ですからね。大同小異とは「小異を捨てて大同につく」ということですが、ある先輩から「小異は捨てなくていい。残したままで、まとまらなきゃいけないところはまとまればいい」と言われました。
林:せっかくの機会ですので、民進党としてこれだけは国民に言っておきたいということがありましたら。
前原:安倍さんのなさってきたことを全部否定するつもりはありません。ただ、経済さえよくなれば問題が解決するというアプローチには無理がある。人生100歳の時代に、自分がいくつまで生きるかわからないという恐怖感がある。年金生活者は今4千万人いるんです。