一方、日銀が09年度からアパート融資の残高を把握するために始めた統計によると、大手銀行の10年3月末のアパート融資残高は11兆円。一方で地方銀行は8兆9千億円。その後大手行は残高を下げ、17年3月末に8兆3千億円まで落とした。一方、地方銀行は逆に右肩上がりに残高を積み増しし、17年3月末に13兆8千億円まで増加していた。

 サブリース被害対策弁護団の増田祐一弁護士は「昨年9月に国土交通省が通知を出し、一部業者に対し、家主へのサブリースのリスク説明を徹底させた。その後、大手の不動産業者、都銀は過度な営業活動を控えている」。

 しかし、人口減少に直面する地方銀行はアパート融資が増加。地方では貸し出しできる企業が少ないため、アパート融資で貸出残高を積み増ししてきた実態が透けてみえる。不動産コンサルタントの長嶋さんはこう分析する。

「一部の不動産業者、地方銀行は今もアパート融資に積極的。アパート経営をしたことがなく、不動産投資に疎い地方の地主が狙われやすい。駅から遠いなど、需要がない場所でもアパート建設の営業をしている事例も多い」

 レオパレス21に取材を申し込んだところ、「当社として開示を差し控えさせていただかざるを得ないものも含まれている」という理由で書面で回答があった。

「リーマンショック後、全国的な景況の悪化に伴い、オーナー様保有の物件によっては、入居者増を図るために賃料動向に応じて、家賃減額をご提案し、ご理解の上、ご提案に応じて頂いたケースがあります。(略)いったん家賃減額に応じていただいたケースでも、今度は家賃を値上げさせていただいた事例もございます。当社は今後とも、オーナー様の利益向上の観点から、当社が培ってきた独自のオペレーションに磨きをかけながら、長期的な関係構築を図ってまいる所存です」

 関東、関西圏などに住むオーナー45人が9月20日、東京地裁でも同社とのサブリース契約をめぐり提訴している。(ライター・佐藤拓也)

週刊朝日 2017年9月29日号より抜粋