“風吹けば桶屋が儲かる”ということわざがある。
「売れて売れてしょうがないです」と嬉しい悲鳴をあげるのは、核シェルター業界だ。北朝鮮は核実験や日本へ向けたミサイルの発射を重ねるが、そのたびに核シェルター販売会社には、問い合わせの電話やメールが殺到している。
NPO法人日本核シェルター協会によると、日本での核シェルターの人口に対する普及率は0.02%。スイス100%やアメリカ82%の普及率と比べると、大きく水をあけられている。核シェルターを販売する織部精機製作所(神戸市)のシェルター担当・織部信子取締役はこう話す。
「今までは地下室をつくって、その中に放射性物質や毒ガスを防ぐための家庭用の換気装置(スイス製)を設置してましたが、今年は換気装置だけが飛ぶように売れている」
これまでほとんど需要がなかったので、昨年対比38倍の販売台数だという。
地下核シェルターを設置するためには同社では2500万円の費用が必要。役所への申請や施工などに4カ月半かかる。
「北朝鮮がきょう、明日にも、ミサイルを撃ってくるかもしれないというときに、そんなに待ってられないんですね。換気装置なら、部屋に半日で取り付けられます」(織部氏)