2016年の駅別の乗降客数(名古屋市営は乗車人数)を、前年比伸び率で分類した。各地下鉄の公表資料から作成。同一駅を路線別に集計している地下鉄もある (週刊朝日 2017年8月18-25日合併号より)
2016年の駅別の乗降客数(名古屋市営は乗車人数)を、前年比伸び率で分類した。各地下鉄の公表資料から作成。同一駅を路線別に集計している地下鉄もある (週刊朝日 2017年8月18-25日合併号より)
この記事の写真をすべて見る
関西圏の主な駅の1日の利用者数(2016年度)(週刊朝日 2017年8月18-25日合併号より)
関西圏の主な駅の1日の利用者数(2016年度)(週刊朝日 2017年8月18-25日合併号より)

 街は生き物。都市開発や企業移転などさまざまな要因で変化していく。その勢いを映すのが駅だ。本誌は主要鉄道会社の2016年度の駅別利用者数のデータを集め、独自に分析・集計し“流行る駅”と“流行らない駅”を調査。最新の動向を見ると、関西圏でも大きな変化があった。

【関西圏の主な駅の1日の利用者数はこちら】

*  *  *

「駅に降りる人が本当に減り、人通りも寂しい」

 ため息まじりにそう話すのは、大阪市営地下鉄西田辺駅近くで飲食店を営む女性。家電メーカーのシャープが本社を構えたおひざ元だが、同社は経営不振でリストラに次ぐリストラ。ついに自社ビル売却にも踏み切り、工場のある大阪府堺市に本社を移転・集約した。子会社も含め、従業員約1600人がいなくなった。

 大阪市営地下鉄によると、西田辺の16年度の利用者数は2.2万人で、前年比15.1%も減った。

「お昼の営業をやめた店も多い。うちも売り上げが4割減った。シャープのお客さんが集まっていた居酒屋には、閉店した店が何軒もあります」と女性は嘆く。

 大阪市営地下鉄は、西田辺だけではなく全107のうち過半数の58駅で、16年の乗降客が前年より減った。15年は外国人観光客などで、大阪市営地下鉄の利用客が大幅に増えた年。それだけに反動減の要因も考えられる。ただ、14年や13年と比べても、減った駅が少なくない。

 対照的に、東京都営や東京メトロ、名古屋市営の各地下鉄は大半の駅で増えている。首都圏や中京圏と比べ、関西の苦境が表れる。

 首都圏と比べた大きな違いは、郊外の人口減が一足早く進んでいること。京阪電鉄の樟葉(くずは)や中書島(ちゅうしょじま)、阪急電鉄の高槻市や宝塚など、減少駅には郊外の駅が目立つ。

 沿線人口の減少は、簡単には止められない。シャープに限らず、関西を支えてきたものづくり企業に、かつての勢いがない。京阪沿線の旧三洋電機はパナソニックに吸収された。そのパナソニックグループは、東京へのシフトを進めている。

 そこで、外国人も含めた観光客への期待は大きい。

次のページ