親の元気な姿を見られるのはいつまでなのか。考えたくもないことだが、親が弱ってからでは遅いことは多々ある。特に介護の問題は、本人の意志をきちんと確かめておくことが大切だ。
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認知症を発症する、歩けなくなる──。そのとき、親の意思を把握し、それに沿った判断ができるように準備しておく必要がある。
母親が亡くなる4カ月前に自分の母親について「何も知らない」と痛感した佐竹美紀さん(仮名・57歳・神奈川県在住)は、母が亡くなってから実家の片づけをしている際、要精密検査のチェックが多くつけられた健康診断結果を見つけた。「こんな話、全然知らなかった」と、また自分を責めたという。
まずは、必要なときに慌てないために、病院の診察券、健康保険証の保管場所を確認し、下着などをまとめた入院セットを作っておくこと。置き場所を決めて、把握しておこう。健康診断の結果やお薬手帳も確認。健康診断の結果用紙は、同じファイルに保管し、変化を一覧できるといい。
親が通院しているなら、早い段階で病院に付き添ってみて、医者の話を一緒に聞こう。付き添うときは、下記のような点に注意しながら、医者の話をしっかりと聞くこと。
【病院付き添い時の質問項目】
1.病気と、日常生活や生活習慣の関連性
2.病気の特性、感染の有無
3.病気の経過、現状。今後の治療と暮らし方
4.処方された薬によって、どの程度改善するのか
5.薬の副作用
6.録音させてもらえるかどうか(命に関わる治療や手術の場合)
「わからないことは理解できるまで質問して。煙たがられる、明確な答えが得られないといった場合には、病院を変えることを考えてもいいと思います」(終活に関する著書やセミナーも多い日本クオリティオブライフ協会代表理事・清水晶子さん)
そして親の病歴を確認し、メモにして持っておく。診察や介護の際に、主治医や介護職員に必ず質問される項目だからだ。事前に知っておけば、病名や原因の究明に役立つばかりか、無駄な検査を受けずに済む。
親の希望を聞くことも忘れずに。子にどこまで世話してほしいか、誰に頼りたいか、逆に誰に頼りたくないか。自身も親の終末期に向けた準備を始める、埼玉県立大学准教授の柴山志穂美さん(看護学)は言う。