会見でリオネル・メッシと抱擁しあう楽天の三木谷浩史社長(撮影/大塚淳史)
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「Rakuten」の文字が入ったユニフォームを手にする(左から)三木谷浩史社長、リオネル・メッシ、ネイマール、ジェラルド・ピケ、アルダ・トゥラン、アローヨFCバルセロナ副会長(撮影/大塚淳史)

 サッカー界のスーパースター2人が7月13日、都内に現れた。アルゼンチン代表のリオネル・メッシとブラジル代表のネイマール。彼らを満面の笑みで迎えて抱擁したのは、楽天の三木谷浩史社長だった。

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 楽天は、2人が所属するスペインの名門サッカーチーム「FCバルセロナ」(バルサ)のメインスポンサーに7月1日になった。それをアピールするための会見が、世田谷区の楽天本社で開かれた。2人の他にも、ジェラルド・ピケ(スペイン代表)、アルダ・トゥラン(トルコ代表)のスター選手が出席した。

 会見には国内外のメディア126社から約260が詰めかけた。ほかにも一部のサッカーファンがビルの出口に集まる騒ぎとなった。

 楽天はこれから4年間、毎年5500万ユーロ(約71億円)を支払う。支払総額は300億円近くになる。バルサの成績が良ければボーナスも支払う。スポンサー契約を、1年間延長することもできるという。

 日本企業による海外スポーツチームへの投資額としては過去最大規模とみられる。

 巨額投資について問われた三木谷浩史社長は、

「スペシャルなクラブとのパートナシーップを結ぶことができたことで、楽天ブランド自体の意味が変わってくると思う。しっかりと様々な形で人々に使っていただけるサービスを開発していくことで、経済的にも十分投資回収ができると思っています」

 と自信を見せた。

 バルサはスペインだけでなく、世界的にファンが多い。チームユニフォームの胸部分に「Rakuten」の文字が入ることで、認知度を一気に高めたい考えだ。

 三木谷社長は、もともとサッカー好きで知られる。サッカー・Jリーグのヴィッセル神戸も楽天傘下。「世界のバルサ」のスポンサーになったことは、三木谷社長にとっても大きな節目となる。

 楽天はバルサの知名度を生かして、海外事業の拡大をめざすとみられる。欧州で利用者の多いメッセージアプリ「Viber(バイバー)」の運営会社を、2014年に買収。今年1月にはルクセンブルクで商業銀行業務を本格的に始めるなど、欧州に力を入れてきた。

 楽天は会見前日の7月12日には、バイバー利用者向けにバルサの選手のキャラクター画像を無料で配信。スポンサーの立場を生かして、利用者を増やそうとしている。将来的にはバイバーを活用して、電子決済事業を欧州で幅広く展開する可能性もある。

 とはいえ、300億円の投資に見合うかどうかは未知数だ。異例の巨額投資に、株主らから費用対効果の説明を求められる可能性もある。三木谷社長はメッシやネイマールとの抱擁で、喜んでばかりもいられなさそうだ。(本誌・大塚淳史)

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