
都会の独身アラサー女性たちの、共感と悲鳴の渦を巻き起こし、ドラマ化もされた漫画「東京タラレバ娘」。ヒット作の生みの親、東村アキコさんは、切れ長の目が印象的なセクシー美女。作家・林真理子さんとの対談は漫画に負けず劣らずの切れ味抜群トークで、大興奮の「女子会」となったのでした。
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林:東村さんは、結婚しなくたって幸福にはいろんな道があるだろうと思ってたら、周りの女性が「東京オリンピックまでに何とか結婚したい」と言い始めたんですって? これは世の中で言われてるのと違うぞ、みんな結婚したいんだ、というのが描き始めたきっかけだったとか。
東村:そうなんです。特に東京のキャリアウーマンは、「男なんていいわ。私一人で稼いで、女だけで遊んで生きていったほうが楽しい。彼氏ぐらいはつくってもいいけどね」という具合に完結していると思っていたんです。でも、私の周りの編集さんとかライターさんとかが、東京オリンピックが決まった途端に「結婚したい」って言いだしたんです。
林:オリンピックがそんな影響をもたらしたとは。
東村:オリンピックが決まったとき、うちの独身の30代のアシスタントたちに、「7年後にオリンピック決まったじゃん。でもさ、『オリンピックまであと100日』とか『あと50日』とかってカウントダウンが始まったときに、あんたたちスッとその前を素通りするわけ? 一人でオリンピック観戦するわけ?」って冗談で聞いたんです。
林:ええ。
東村:この「7年後」というのが、遠いような近いような絶妙な時間で。みんなリアルに7年後を考えたらしくて、そこからみんな「やっぱり私、結婚したいかも」って言いだしたんです。「ちょっと私の相談を聞いて」と私にどんどん飲みのお誘いが来て、それが増えて面倒くさくなっちゃって、この際、彼女たちをモデルに漫画描こうかなと思って。
林:こんなこと作者に聞くのヤボですけど、モデルはいるんですか。
東村:います。脚本家の主人公とネイリストと居酒屋の子、3人ともモデルがいて、職業もそのまんま描いてます。今回は取材してないです。
林:彼女たちの独白がいちいち刺さるみたいね、アラサー女子に。
東村:私はべつにアラサーの子にお説教しようとか、いろいろ提案するつもりじゃなくて、ただおもしろいなと思って描き始めたんです。
林:漫画ってすごいなって思ったのは、アラサー3人組が恋愛の話でああでもないこうでもないと盛り上がっている姿が目に浮かぶというか。