「食卓に出ると『えー、またそうめん』と言われてしまいがちな状況をどうにか変えたいですね。じつは日本人のほとんどは、そうめんの本当のおいしさを知らないんです」

「大量生産のそうめんが悪いわけではありません。缶コーヒーとレギュラーコーヒーみたいなもので、まったくの別ものなんです」

 そんな彼に「そうめんをもっとおいしく食べる五つの極意」を聞きました。

 一、未知の種類のつゆを使う、つゆを使わないなど、新たな食べ方に挑んでみよう。炒めたりサラダやデザートにしたりするのもよし

 一、さまざまな銘柄(三輪、揖保乃糸、小豆島、半田、島原など)の手延べそうめんを食べ比べ、違いを舌で確かめよう。特徴を覚えて、異性や同僚の前で通ぶってみるのもよし

 一、いっしょに食べたり誰かに贈ったりして、そうめんがつないでくれるコミュニケーションや人間関係の広がりを実感しよう

 一、侮られがちな食べ物だけに、「じつはおいしいんだよ」と強く主張し、周囲の人の認識を変えよう。「わかってないなあ」という顔をするのも、またよし

 一、そうめんといえば流しそうめん。そうめんを食べながら、腹が立つことや嫌なことを「水に流してしまう」大切さを感じ取ろう

 なるほど、いいことだらけです。「ただし、そうめんは流しても、人生は流されてはいけません」(ソーメン二郎)。わ、わかりました。うっかり人生を流されたり、「まあ、そうめんでいいか」と休日の昼食を適当に流したりしちゃいけませんね。表も参考にしながら、この夏、自分にとってのそうめんの新境地を果敢に切り開きましょう! どうやらそれは、人生の新境地を切り開くことにもつながりそうです。

ソーメン二郎が指南!
画期的においしくなるコツ
1.茹でるときに梅干しを入れる(酸の作用で麺にいっそうコシが出る)
2.そうめんはかきまぜ過ぎない(対流にまかせ、熱を均一に通す)
3.氷水につけるのではなく、水気を切ってザルなどにあげる(カルキ臭が麺に移るし、つゆがどんどん薄くなってしまう)

週刊朝日 2017年7月21日号