東京のコンサルティング会社で働く中堅の男性は、最近大阪に出張する際に驚いた。旅費規定では宿泊費の上限は1万円。超える場合は、ほかの手頃なホテルが予約できなかった理由に加え、選べる範囲で最安値であることを証明しないといけない。

 それだけでも面倒だが、以前はインターネットの宿泊予約サイトの検索結果を出して、最安値を証明すればよかった。ところが管理部門に規則にうるさい責任者が着任。証明手続きにこだわり、複数のサイトの検索結果を印刷して、申請しなければならなくなった。

 ホテルの宿泊費は需要に応じて、日々変わる。予約時に最安値でも、その後でほかがより安くなることもある。管理部門は申請内容をネットで細かくチェック。値段が異なるたびに、担当者から事実確認の連絡があるのだという。

「申請する前も後も手間がかかり、本来の仕事に差し障る。責任者に『こんな申請も確認も無駄じゃないか』と意見したことがありましたが、『これは規則だ』の一点張り。議論になりませんでした」

 マニュアルや決まり事を盾に、柔軟に対応できないのもよくあるケース。

 大学職員の岡崎義弘さん(仮名)はこんな体験をした。3月下旬に構内の広い部屋で、大学の運営側と職員の会合があった。理事長は職員を前にこう訴えた。

「18歳人口が減少し、大学は大変な時期。新しい風を吹き込みたい。どんなことでもいいので、遠慮なく意見を出して」

 この言葉もあって、職員からは、「この部屋も飲食を可能にして、交流の場として活用したらどうか」といった提案が出た。

 すると、司会役の役員が理事長を差し置いて突然発言した。

「規則なんだから、そんなこと許されるわけはないだろう」

 いきなりの否定に職員たちは唖然(あぜん)として、理事長もあっけにとられていた。

「その役員は以前から規則に厳しく、融通が利かないことで知られていた。あのタイミングで規則を持ち出すのは、しゃくし定規にもほどがある」(岡崎さん)

 その後は発言しにくくなり、そのまま散会となったという。

 会議、数字、規則が大好きな3バカ以外にも、困った人がいる。

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