
スペインのアカデミー賞であるゴヤ賞で作品賞を含む5部門を受賞。世界の映画祭でも受賞やノミネートを受けた「しあわせな人生の選択」。この話題作を映画評論家らはどう見た?
フリアン(リカルド・ダリン)は、スペインで俳優として活躍し、愛犬トルーマンと暮らしていた。ある日突然、カナダに暮らす古い友人のトマス(ハビエル・カマラ)が目の前に現れる。フリアンの体調がよくないという話を聞いてのことだった。フリアンは既に治療をやめ、身辺整理を始めていた。トマスに説教されることを嫌がり、彼を追い返そうとするが、そんなことはお構いなしに4日間滞在するという。
次第に二人は、昔の遠慮ない関係に戻り、フリアンの残り少ない時間をトルーマンの里親探しや、離婚後会っていなかったアムステルダムにいる息子に面会に行くことに費やす。それは共に過ごせる最後の日々でもあった……。
■渡辺祥子(映画評論家)
評価:超オススメ、ぜひ観て
愛犬、息子、友情。不治の病を知ってはるばる遠路を駆けつけた親友との再会の4日間はやせ我慢と本音のせめぎあい。だが、それだけではない幸せ。親友にだから言える「待ってろ、少し泣いてくる」。繊細な脚本にホロリ。
■大場正明(映画評論家)
評価:なかなかGOOD!
状況は非常に深刻でありながら、ユーモラスな空気を醸し出す監督の洞察と話術が光る。レストランで、訳ありな知人に気づかぬふりをしたり、されたりする些細なエピソードも含め、人間が実に細やかに描き出されている。
■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:なかなかGOOD!
邦題が良すぎます! 確かに役者は素晴らしい。主人公と息子さんのとこは素敵で、あのハグはまるで最後であるかのように愛のこもったもの。頑固な方でも終わりが近いと心が広くなりますね。それともこれは諦めかな?
■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:超オススメ、ぜひ観て
人生で得るものと失うものの誠実な考察。最近、母親を見送ったばかりなのもあり感情的に強く迫ってきた。人との関係で生きていくことの大事さを再認識。繊細な描写がさまざまな感情を観る者に呼び起こす。犬が名演。
※週刊朝日 2017年7月14日号