これは専業主婦の期間が対象で、08年4月1日から離婚するまでの間の、夫の厚生年金記録の2分の1を合意なしで受け取ることができる制度である。年金分割請求には、時効(原則、離婚後2年以内)がある。
「離婚後を見据えて、離婚前に年金分割のための情報提供を年金事務所に請求しましょう。そして年金分割のための情報通知書をもらっておくのです。先立つものはお金です。年金に関しても自分が受け取れる金額は、自分自身できちんと把握しておくことが大事です」(中島さん)
そして分けるべきものをある程度把握したら、より緻密に生活設計を練って、別居に踏み切るのだ。その際に、離婚相談に慣れている弁護士を早めに見つけておくこともポイントだ。離婚についての夫婦間の話し合いで合意に達しない場合、相手が話し合いそのものに応じない場合、離婚については合意したものの、子どもや財産などについて話し合いがつかない場合は、夫か妻のいずれかが家庭裁判所に「夫婦関係調整(離婚)」の申し立てをする。
いわゆる“調停の申し立て”だ。申し立ての手続きは原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所で行う。
「ケース・バイ・ケースではありますが、とりあえず1回目の調停の前までには自分の方針をある程度決めて、弁護士に法律に関わる相談をしておくほうがいいでしょう」(岡野さん)
調停の段階で弁護士に依頼したほうがいいケースは、相手方が弁護士を依頼している場合、事実関係、特に離婚を決意するに至った経過が複雑な場合、調停が不成立で終わることが予想され、裁判を起こす決意がすでにある場合等だ。
弁護士の立場から前出の比留田さんは言う。
「いろいろ迷っている段階でのご相談は私たちはいくらでものります。でも『調停』という仕事のご依頼のときには、きちんと腹を決めておいていただきたいですね。ご相談に来られる方によく、こうおっしゃる方がいます。『なるべくこじらせないで離婚したいんです』。しかし、こじれるならやっぱり離婚はやめますという、どっちつかずの気持ちでは物事は進みません。もはや調停の段階まできているのであれば、『こじれるかもしれないけれど、私は離婚したい』という強い意志が必要です」