血流の塊とも称される男性の陰茎が勃たなくなる病気、ED。治療には薬物療法や手術があるが、自然な形で元に戻る根本治療はなかった。そこに画期的な勃起不全衝撃波治療(ED1000)が登場した。治療は大きく変わるのか。
男性の生殖活動とともに性生活を楽しむのに欠かせない陰茎(ペニス)が勃たなくなる病気がEDだ。男性の生活の質(QOL)を落とすうえ、パートナーにとっても重大な問題となる。原因は、緊張やストレスによる心因性の場合もあるが、多くは加齢とともに起こる血管の動脈硬化による。
わが国のED患者は推定1130万人。1998年に日本人男性289人を対象にした疫学調査によると、40代は20%、50代は40%、60代は60%、70代は70%超の人が中等度ないし完全なEDだった。高齢者の増加にともない、今後さらに患者が増えると予測される。人知れず悩んでいる人も多いのではないだろうか。
そもそも勃起は、性的刺激を受けると脳が感知し、神経を通じて陰茎に伝わっって起こる。具体的に説明すると、陰茎の上側左右にはスポンジ状の海綿体があり、興奮が海綿体の神経に届くと一酸化窒素が発生、血管拡張物質が増えて血管が広がり、血液が陰茎に流れ込む。同時に、静脈が閉鎖し陰茎に血液が充満して勃起する。このように、勃起は血流と大きく関係する。
治療の第一選択は薬物療法だが、勃起を必要とする前に服用しなければならず、あくまで一時的に改善するもので、根本的な治療ではない。そこに出現した新たな治療が勃起不全衝撃波治療(ED1000)だ。
ED1000とは、陰茎に直接衝撃波を照射することで血管機能を高めるものだ。千葉西総合病院泌尿器科部長の久末伸一医師は、こう説明する。
「衝撃波を陰茎に当てると、新しい血管が形成され、海綿体で一酸化窒素が分泌されて血管が広がり、陰茎の血流が通常に戻ります。それにより血管の障害によって起きていた勃起障害が改善するという仕組みです」