解決したとは言いがたい加計学園問題。作家の室井佑月氏は野党の追及に不安を覚える。

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 ひょっとして、有り難がれってか?

 6月9日、加計学園の獣医学部新設についての文書に関して、松野博一文部科学相が再調査を表明した。「官邸の最高レベルが言っていること」などと書かれていたアレよ。

 松野文科相はこういった。

「国民の声に真摯に向き合い、追加調査をする」と。

 安倍首相に申し入れたところ、「徹底した調査を速やかに実施するように」と指示されたんだって。

 ニュースでは、安倍首相の判断でそうなった、みたいに扱っているところもあった。

 馬鹿かっ!

 菅官房長官ははじめ、日時も登場人物もわからない「怪文書のたぐい」っていっておった。そしたら日時や人物が判明した。そして、「文書の存在を確認できない」といっていた文科省は、メールを送受信した人物名まであがると「同姓同名の人物はいるが……」と苦しい言い訳。

 でもって、その間になにがあったかというと、読売新聞を使って前川さんの人格攻撃。

 文書の再調査程度のことで、安倍首相さすが!ってなるわきゃないだろ。舐めるな!

 ……いいや、油断しちゃいけないんだよ。新国立競技場の見直しも、「安倍さんの一言でさすが!」ってな印象操作がなされたんだ。安倍さんのお仲間が調子こいて、値段がつり上がったっていうのに。安倍さんはそれを身近で見ていて、黙っていた人である。

 こうなったら、野党の徹底追及に望みを託すよりほかない。ここんとこ国会中継を見ていると、自由党の森姐こと、森ゆうこさんがイカしてる。みんな、あのくらい真剣に怒ってよ。衆議院で共謀罪法案が思ったよりすんなり通ったのは、夕方から自民党の細田派のパーティーが行われるという大人の事情があった、なんて噂もある。どうせ数の力には勝てないし、なんて考えているんじゃないだろうな。

 あたし程度の女だって、失うものを考えながら、大手新聞の名前をあげて批判している。前川さんのことがあったばかりだもの、怖くて声なんか上げたくないのに。次の選挙まで、誰が身分や生活を支えていると思ってるんだ?

 
 日曜日(6月11日)、NHKの討論番組を見てたら、ため息が出て来た。最大野党のある方(この人、根は良い人と思うので、名前はあえて出さない)が、

「誠実な対応がなければ、内閣不信任決議案提出も視野に、厳しく終盤国会に臨んでいきたい」

 とかいっておった。

 馬鹿かっ!

 安倍政権が今まで、誠実な対応なんてしてきたことあったか? なんで、ここに来て急に誠実な対応をすると思うんだよ? 甘すぎる。見ていて歯が痛くなるほどだ。

 文書の話は、あるかないかのレベルは超えた。確実にある。これから安倍政権のすることは一つ。現場が勝手にそうしたというトカゲの尻尾切りでしょう。森友からなにを学んだ?

週刊朝日 2017年6月30日号

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