その前日夜、都内のホテルで開催された村上氏のパーティーにはわざわざ二階幹事長、細田氏に加え、岸田外相までもが挨拶に立った。
「安倍批判を繰り返し、長く冷や飯を食ってきた村上さんのパーティーとは思えないほど豪華な顔ぶれだった。気をよくした村上さんは『前川氏の命をかけ身を挺した発言を無視する安倍官邸が続けば、日本の民主主義は吹っ飛ぶ。為政者が立法府である国会のトップは自分だと言いだし、関係が近い人を最高裁判事に充てるなど、三権分立がひっくり返っている』と大声を張り上げ、共謀罪や9条改憲などについても批判的な論陣を張りました」(出席した自民党議員)
麻生氏のさらなる追い風は、永田町で流れる安倍首相の健康不安説だ。
別の政府関係者によると、「首相は6月9、10両日、慶応病院の主治医の診察を受けています。『毎月1回の定期診察』と官邸中枢は予防線を張ってますが、持病の潰瘍性大腸炎が加計疑惑で悪化。長年服用している『アサコール』の副作用も懸念されています」
政治家にとって健康問題は「政治生命」にかかわる極めてデリケートな事案であり、「真相は首相本人が知るのみ」(同)。
細田氏は本誌に対し、「毎週、役員会などでお目にかかるが、意気軒高そのもの。病状悪化については一切聞いていない」と語る。
その一方で、さまざまな臆測が自民党内で流れている。
「共謀罪の強行採決であそこまで無理をし、国会を強引に閉じたことも含めて、健康に不安があり、焦りがあるのではないか。19日に加計疑惑で会見する以外、安倍首相の日程はほとんど入っていないのも不可思議です」(自民党関係者)
自民党内では都議選後の内閣改造への猟官運動が活発化している。前出のベテラン議員はこう語る。
「外形的には安倍政権は死に体だ。金田勝年法相や稲田朋美防衛相とあわせ、人事刷新の美名の下、斬新な内閣を国民に見せつけるため、菅氏の更迭、加藤勝信・1億総活躍相の横滑りの可能性もある。前川氏の蜂の一刺しは効いた。さぞかし、麻生さんは高笑いしているでしょう」
いよいよ自民党内の権力闘争に火がつきそうだ。(本誌・村上新太郎)
※週刊朝日 2017年6月30日号