最大派閥、細田派(96人)に次ぐ第2勢力となり、長らく続く細田派支配への対抗軸構築が狙いだ。麻生氏と親しいベテラン議員は、「今後の政局を占う最大のキーマンは麻生さんです。来年9月の総裁選では総裁派閥(細田派)と麻生グループから候補者が出るだろう。安倍首相や細田博之総務会長は相当な警戒感を感じているはずです」
皮肉にも菅氏と麻生氏との確執は、文科省から流出した8枚の加計文書で表面化した。自民党獣医師問題議連会長でもある麻生氏が、<獣医学部新設に強く反対している><(麻生氏は)総理から本件関係で何も言われていない。だからもう(やらない方向で)決着したのだと思ってたくらいだ>と。そして松野文科相や萩生田官房副長官も<衆院福岡6区補選を終えた後に動くべきではないか>と発言したと記されていた。
これは昨年10月23日に投開票があった衆院福岡6区補選のことで、菅氏が推した鳩山二郎氏と、麻生氏が推した蔵内謙氏が激突。鳩山氏が大差で勝利したが、前川氏は本誌の取材に対し、こう証言した。
「菅氏と麻生氏と、どっちの政治力が強いかを見定める試金石であったと思います。鳩山二郎さんの圧勝で官邸側の勢いが、また強まるだろうと感じました」
自民党関係者も言う。
「福岡という地元で負けられない麻生さんは、犬猿の仲の古賀誠元幹事長に頭を下げてまで必勝態勢をとったが、結果はトリプルスコアで大敗。いい面汚しになってしまったことで相当、菅氏に恨みを抱いた」
その加計疑惑でこけた菅氏を尻目に麻生氏の勢いは増すばかりだ。
「財務省が改憲に夢中になる安倍首相のままでは『3度目の延期で、消費税が上げられなくなる』と必死に麻生さんをあおっている。麻生さんはいずれ、新麻生派と(岸田文雄外相率いる)岸田派を合併させ、大宏池会を結成し、数で総裁派閥の細田派を上回ることを目指している。最近の動きは目まぐるしく、二階(俊博幹事長)さんや古賀さんと極秘に会食を重ねています。安倍首相から岸田さんに禅譲させるか、もしくは自分が再登板することも視野に入れています」(自民党幹部)
反主流派の動きも活発だ。麻生財務相の“別動隊”ともいわれる村上誠一郎・元行革相、野田毅・前党税制調査会長らベテラン議員40人が15日、徹夜国会明けにもかかわらず集結し、首相の看板経済政策「アベノミクス」について、「限界にきている」と異を唱え、消費増税の必要性を訴えた。
会合は5月に続いて2回目だが、今回はポスト安倍をうかがう野田聖子・元総務会長に加え、次の総裁選に出馬意欲をみせる石破茂・元幹事長も出席した。