瓢亭 夕霧そば(温)/柚子の上皮を細かくおろし、石臼で挽いた白い蕎麦粉に混ぜて打った香り高い蕎麦が特徴。温と冷があり、温を頼むと温かい蕎麦と卵が入った汁椀が出てくる。熱いだしを注ぎ、卵を溶いて蕎麦にからめて食べる。やさしい口当たりが絶妙。冷は締めた蕎麦と卵なしの冷たいつけ汁。1150円。税込み(撮影/倉田貴志)
瓢亭 夕霧そば(温)/柚子の上皮を細かくおろし、石臼で挽いた白い蕎麦粉に混ぜて打った香り高い蕎麦が特徴。温と冷があり、温を頼むと温かい蕎麦と卵が入った汁椀が出てくる。熱いだしを注ぎ、卵を溶いて蕎麦にからめて食べる。やさしい口当たりが絶妙。冷は締めた蕎麦と卵なしの冷たいつけ汁。1150円。税込み(撮影/倉田貴志)
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瓢亭 大阪市北区曽根崎2ー2ー7/営業・11:00 ~23:00(土~22:30)/休日・日祝
瓢亭 大阪市北区曽根崎2ー2ー7/営業・11:00 ~23:00(土~22:30)/休日・日祝

 著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回、はアーティスト・未唯mieさんの瓢亭「夕霧そば(温)」だ。

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 このお店を知ったのは30代後半のころだったと思います。ツアーで全国あちこちへ行くものの、駅とホールとホテルを行き来するばかり。おいしいものになかなか出合えない、とこぼす私に、大阪出身の友人がすすめてくれました。

 初めていただいたときの衝撃は今でも忘れられません。ざる蕎麦なのに、お汁もお蕎麦も温かいっていうのが珍しい。それに何と言っても、運ばれてきた瞬間の香りがすばらしかったんですよ! 麺に練りこまれた柚子の香りが、湯気と共にふわーっと。私、三つ葉や山椒、パクチーなど、香りの強いものが大好きで。すぐにとりこになりました。お蕎麦のおいしさはもちろん、生卵を溶き入れたお汁のまろやかさも実に絶妙です。

 ここの女将さんのことは「大阪のお母さん」って呼ぶほど、親しくさせていただいています。今も大阪に行ったら、外せないお店。帰る寸前に慌ただしく寄って、ぎりぎりに新幹線に飛び乗る……。それぐらい、私には特別なお蕎麦なんです。

「瓢亭」大阪市北区曽根崎2-2-7/営業時間:11:00~23:00(土~22:30)/定休日:日祝

週刊朝日  2017年6月23日号