「理論上、配合剤の効果は2剤併用と同等のはずです。しかし、実際に使うと併用時より眼圧が下がることが多い。点眼回数が減ったことで患者さんが指示に近い形で点眼できるようになり、狙いどおりの効果が出たと考えられます。いまは配合剤が標準治療です」(同)

 もう一つの閉塞隅角緑内障は、緑内障全体の1割強を占めている。特徴は急性発作と呼ばれる激烈な症状で、目の激痛、目のかすみ、激しい頭痛、吐き気・嘔吐などに突然襲われる。発作は明け方に起こりやすい。

 何かの拍子に隅角が完全に塞がれることが原因で、眼圧は50以上に急上昇する。速やかに治療を始めないと、数日で失明することもある。頭痛や吐き気に気をとられて内科や脳外科を受診すると、時間が無駄になるので要注意。目が痛かったら眼科を選ぼう。

 発作を起こしやすいかどうかは、検査をすればわかる。年をとると誰でも白内障が進んで水晶体が厚くなり、前方に出てくるので隅角が狭くなるが、生まれつき隅角が狭い人がいるのだ。

「子どものころから視力がよい人は隅角が狭い可能性が高いので、40歳になったら眼科で検査を受けましょう。発作を起こすリスクが高ければ、レーザー虹彩切開術を実施します。これを受けておくと、発作を起こす危険性を非常に低くすることができます」

 と、冲永眼科クリニック副院長で、帝京大学病院眼科緑内障外来を担当している冲永聡子医師は言う。

 レーザー虹彩切開術はレーザー光線で虹彩に穴を開ける治療で、治療そのものは5分程度で終わる。外来ででき、その日は少し見えにくいが、翌日から普段どおりに生活できる。これで発作を予防すれば、薬物療法は不要だ。

 この治療は、発作を起こした後にもおこなわれる。その場合は、点滴で眼圧を下げるなどの前処置が必要になる。治療しても眼圧が下がらないときは、白内障手術を追加したり、隅角の癒着をはがしたりするなど、大がかりになっていく。

「閉塞隅角緑内障は眼科を受診すれば必ずリスクがわかり、予防的治療で失明を防げます。緑内障にはこういうタイプもあることを知ってください」(同)

週刊朝日 2017年6月16日号

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