通信販売で生鮮食品を買う人もいるため、冷蔵機能付きの製品も用意するなど、高機能化も進めている。
クリーニングやレンタカーの会社と連携して、洗濯物や車のカギの受け渡しができるものもある。副社長の原周平さんは、
「宅配ボックスはサービス業につながると思っている。業界が活性化して、社会インフラとして認められるようになってきた。ユーザーが、種類を選ぶ時代にやっと突入してきた」
ここにきて注目されているのが、普及が遅れていた個人の戸建て住宅向けの製品だ。
パナソニックは、1992年から戸建て住宅向けの宅配ボックス「コンボ」を販売。門や壁に取り付けたり、エントランスに据え付けたりできる。電源は不要で設置工事も難しくないが、これまでは消費者からの反応は薄く、商品の認知度も低かったという。
そこで福井県あわら市で戸建て住宅100世帯に設置して、昨年12月から今年3月まで実験を行った。2月の中間報告では、再配達率が49%から8%に大きく減ったことがわかった。こうした成果もあって、問い合わせが集まっているという。
パナソニックは新シリーズ(7万~18万円程度、工事費別)を4月初めに発売するため、注文の倍増を想定して生産体制を整えていた。ところが、想定を上回る5倍の注文がきてしまい、発売時期を6月に延期することになった。
長く細々と扱っていた商品が急に脚光を浴びる状況についてマーケティング広報課の奥瀬史郎さんは、
「住設メーカーの“ピコ太郎”と言われるかもしれませんが、全国の戸建て住宅における設置率は1%にも満たないと見られていて、まだまだ伸びしろがある」
と今後の成長に期待している。
大和ハウス工業は、新築の戸建て住宅向けに、門柱一体型の「クォール・ディー」を開発し、2月から売り出した。
ポストの大手メーカーのナスタ、日本郵便と組んで、利便性を高めた。表札、インターホンやポスト、宅配ボックスが一体となっている。値段は税別で25万〜30万円で、基本的には住宅とセットで販売される。