ちょっと外出したときに限って、帰ってみると宅配業者の「不在票」が入っているもの。こんなときに役立つのが宅配ボックス。新築のマンションにはほぼ備え付けられていて、一般の戸建て住宅用も発売されている。宅配業者の人手不足によって、再配達が有料化されるとの見方もあり、メーカーには注文が殺到している。将来は“一家に一台”の時代がやってきそうだ。
宅配ボックスが注目されるきっかけは、宅配業者の運営に支障が出ているとの報道が相次いだことだ。アマゾンや楽天などインターネットの通信販売を利用する消費者が増加。ヤフオクなどネットを通じた個人間の売買も増えていて、取り扱い個数は急増している。
消費者向けEC(電子商取引)の市場規模は、経済産業省の調査によると、2016年で前年比9.9%増の15.1兆円。宅配便の取り扱い個数は、国土交通省の調査によると、15年度で5年前より約16%増の37億4493万個。どちらも、今後さらに伸びていくとみられている。
運ばなければいけない荷物が増えていることに加え、スタッフの負担になっているのが再配達だ。都市部のマンションなどでは受取人が不在のことが多く、再配達のために何度も往復しなければならなくなる。
大手のヤマト運輸は配達を指定できる時間の枠を減らし、将来的には再配達の有料化も検討しているという。
こうした流れの中で、宅配ボックスが脚光を浴びるようになった。
大手メーカーのフルタイムシステムは、前身となる会社が世界で初めて宅配ボックスを開発。ほぼ100%設置されるようになった新築マンションの分野で、7割のシェアを占める。マンションの建設ブームもあって、需要は高まっているという。複数のロッカーを組み合わせることで、大きなマンションにも対応できる。値段は数十万円から100万円を超えるものまで幅広い。
強みは管理システムを自社で開発していることだ。管理センターで利用状況を把握し、受け取っていない人に連絡をするなど、24時間態勢で対応している。