この文書は、内閣府の担当者が計画の早期実現について「官邸の最高レベルが言っていること」「これは総理のご意向だと聞いている」などと発言したことが克明に記録されている。安倍首相は国会で「(加計学園からの相談や官邸からの圧力は)一切ない」と否定していたが、森友学園問題に続き、官邸の関与が疑われる事態となったのだ。
文書には見落とせない点がある。自民党獣医師問題議連会長でもある麻生太郎財務相についても度々、触れられているのだ。<獣医学部新設に強く反対している><(麻生大臣は)総理から本件関係で何も言われていない。だからもう(やらない方向で)決着したのだと思ってたくらいだ>
松野博一文科相や萩生田光一官房副長官が<衆院福岡6区補選を終えた後に動くべきではないか>と発言したとも記されている。これは昨年10月23日に投開票があった衆院福岡6区補選のことで、菅義偉官房長官が推した鳩山二郎氏と、麻生氏が推した蔵内謙氏が激突。鳩山氏が大差で勝利した。文書では蔵内氏は<日本獣医師会長長男>と、わざわざ注意書きも記されていた。ここでも、官邸と微妙な距離にある麻生氏の動向を官邸が警戒している様子がうかがえる。
さらに、石破茂衆院議員が<党プロセスは今後どうなるのか。党プロセスを省くのはおかしい>と手続きに疑義を唱えていること、党の意思決定の場である総務会に地元の愛媛県選出の村上誠一郎衆院議員が在籍していることなどが書かれていた。いずれも、安倍首相のやり方に反対意見を述べる“うるさ型”たちだ。
一連の資料は文科省から流出したとされる。国会で加計問題を追及してきた自由党の森ゆうこ参院議員がこう語る。
「3月9日から加計学園の問題を質問してきました。4月5日朝、文科省の担当者は翌日の質問用に、詳細な経緯を資料にして提出すると約束しましたが、夕方、断りの電話がかかってきました。内閣府からの圧力があったようです。文科省から流出したのは、法治国家を否定するやり方に反発したからではないか」
ところが、安倍政権はまたも真相をうやむやにして“逃げ切り”を狙う姿勢のようだ。松野文科相は19日の会見で、文科省の調査では資料の存在を確認できなかったと説明。だが、呆れたことに官僚個人のパソコンは調べなかったというのだ。
ある文科官僚はその裏をこう語る。