三島由紀夫原作のSF小説を、舞台を現代に置き換えて脚色した異色の映画「美しい星」に出演している亀梨和也さん。ある日、自分が宇宙人だと覚醒したという、なんとも難しい役どころが話題だ。亀梨さん、もし本当に宇宙人だったらどうします──?
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──今回、ユニークな設定の役を演じられました。
僕の頭じゃ解釈しきれないことがたくさんで(笑)。でもまず、「桐島、部活やめるってよ」や「紙の月」などの作品を撮られている吉田大八監督から声をかけていただいたのがすごくうれしかった。現場では、楽しいことが起こるんだろうなと日々ワクワクしていました。
──吉田監督とのお仕事はいかがでしたか。
とにかくついていこうと必死でした。僕の役は宇宙人ではあるけれども、それより大事なのは、この作品は家族の物語だということ。フリーターだった自分が、ある日、ひょんなことから政治家の秘書の手伝いをすることになり、反抗していた父と対峙するようになり、家族が一つになっていく。宇宙を巻き込んだ壮大な背景がありながら、僕にとっては、一人の男の成長の物語だと感じたので、地球人とか宇宙人とかを抜きに父親との向き合い方を考えていました。
──父親役はリリー・フランキーさんでした。
独特の空気感があって、唯一無二のかたでした。楽屋ではいろんなお話を聞かせてくださいましたし、僕のことは役名の「一雄」、母親役の中嶋朋子さんのことは「お母さん~」と呼んでくれ、みんながそれを真似するようになり、リリーさんのおかげで本当の家族のようになれました。
──家族は、映画の冒頭ではバラバラに見えましたが、宇宙人としての覚醒などを通して結束が固くなっていったように思います。
そうですね。もともと互いへの思いやりはあったと思うけれど、僕は水星人、妹は金星人などと共通項を持って、より理解を深めていきました。ただ、家族というものの形は、人間であろうと宇宙人であろうと変わらない。いざというときに結びついて一つになれる、素敵な関係だなと感じましたね。