夫:今も夜遅くに食事するリズムは変わりませんけど、浜内が作る料理はだいぶ変化してきましたね。今は、塩とお酢が基本の調味料で、極力シンプルな味つけの料理しか作りませんが、30代のときは、お互い若くて活動量も多いので、こってり系の料理を中華鍋で作ったりしていました。僕も今より10キロ太っていましたから。

妻:夫婦げんかの原因もだいたい食べ物よね。今まで一番の大げんかは「こしょう事件」。私がギョーザを作っているとき、「こしょう入れてくれる?」と頼んだら、慌てたのか、ふたを取るのにキャップ丸ごと取っちゃって、こしょうが全部入ったんです。それで私がカチンときて「どうしてそうなるのよ!」と。

夫:この人、怒ると相当怖いですから(笑)。

妻:怖い怖い。そしたら出ていっちゃって、夜になっても帰ってこないんです。心配で眠れなくて連絡し続けて、やっと電話がつながったと思ったら、当時住んでいたマンションの向かいにあったホテルセンチュリー・ハイアットに泊まっていたんですよ(笑)。

夫:ハハハハ。

妻:たかだか100円ちょっとのこしょうが原因で2万円を超えるホテル代がかかるなんて、無駄でもったいない!と、急に現実的になってすぐに仲直りしました。どんなに怒っても、物を投げるのも壊れるともったいないのでしませんね。

夫:そういうときは、反抗したい気持ちをぐっとこらえて、嵐が過ぎ去るまでひたすら耐えています。

妻:おとといも、お気に入りのカップとソーサーが一客足りなくて、彼に聞いたら知らんぷりしたんです。でも実は、自分が割って後でこっそり買って補充するつもりだったと白状したので、またイライラッときて。ねえ、勇造くん?

夫:(下を向いて)黙るしかありません(笑)。

――長すぎた事実婚時代は、すれ違いが生じることもあった。二人の生活に大きな変化が訪れたのは、40代半ばだった。

夫:僕たちが付き合っていることをオープンにしていなかったときは、夜の付き合いを断る理由がなかったので、帰りが深夜になることもあったんです。たまたまそういうことが続いたときに言われたんですよ。

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