健康被害については、製薬メーカーに問い合わせがあったものに、「意識不明になり、けいれんを起こした」「頭痛がする」「胃の調子が悪くなった」「目の前が真っ暗になった」など。1例だが死亡例もあるという。昭和大学藤が丘病院泌尿器科教授の佐々木春明医師は、こんな一例を知る。

 40代の男性患者が救急外来を訪ねたとたん、意識消失したという。CT検査などをしたところ、血糖値が急激に下がって低血糖を起こしていることがわかった。意識を取り戻した患者は、「タイにいる友人から送ってもらったシアリスを飲んだ」と答えたという。

「その薬には糖尿病に使う血糖降下薬の成分が含まれていたわけです。病院に来ても、ネットで買った薬を飲んで具合が悪くなったとは言えない患者さんが多い。カミングアウトしないので、原因がわかるまで時間がかかります」(佐々木医師)

 厚生労働省のインターネット調査によると、個人輸入した医薬品で最も多かったのは性機能増強薬で22%。全体で副作用症状が出た経験があるのは、15.8%だった。興味深いことに、先の4社が以前行った調査によると、インターネットで偽薬品が出回っているというリスクを認識している人は、97%もいるのに対し、「自分がネットで購入したものは本物だ」と考える人が88%もいた。ED治療薬は本来、医師の診察と処方がなければ入手できないもの。リスクの多さを考えると「手軽さ」や「興味」で買うものではない。

※医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全の確保等に関する法律

週刊朝日  2017年5月19日号

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