──若いころは、もっと無頓着でしたか?
そうですね。大学はバスケットボールをするためにハワイへ留学しましたが、学生なので安くいかに量を食べるか、という食事が中心で脂っこいものも大好きでした。ハンバーガーなどもよく食べました。今は長くついてくれているトレーナーとこまめに連絡を取り合って、生活を整えています。最近、焼き肉を食べに行ったんです。そうしたら、以前は脂ののったカルビなどが好きだったんですけど、淡泊なホルモン系が食べたくなって。その話をトレーナーにしたら、「ホルモンでも脂の少ない部位は、骨を強くするものもあり、とてもいい傾向ですよ」と言われました。
──毎シーズン、テレビでNBAを見ているとか?
小学生のときに、父が録画してくれたNBAのビデオで、マジック・ジョンソンなどのプレーを見たら、くぎ付けになりました。実際に、中学生のとき生のNBA観戦も果たしました。進研ゼミ(通信講座)のCMに出演しないかと言われて、その撮影場所がニューヨークだったんです。初めてNBAの雰囲気を味わった興奮は忘れられません。
──身長173センチながら、リーグトップの選手です。
若いころ、もっと背が高ければ、と思ったことがないと言えばうそになります。でも、「バスケットボールはこういうもんだ」と思いながらやってきました。だから、身長に執着するのではなく、自分にしかできないことを磨くほうが、時間を無駄にしません。むしろ、そこがバスケットボールの楽しさだと思うんですよね。小さくても、大きくても、いろんなサイズの選手がコートで活躍できるんです。
──背が高いほうが有利なのでは?
1対1なら、背が高くて力が強いほうが有利でしょうけど、5対5のスポーツですから、実はそれほど関係ありません。大事なのは頭の使い方です。そういう面でも、年を重ね、経験を重ねるほど、幅が広がっています。若いときは身長が低い分、スピードで勝負しなければいけないと思っていました。でも、今は若いときほどのスピードも出せない分、経験で補います。その全ての根本にあるのは、バスケットボールが好きだ、ということです。情熱を持つと自然と、工夫もしたくなる。その情熱は、誰にも負けたくないと思っています。
──田臥選手の人生のゴールは何ですか?
まだゴールなんて考えていませんが、一年でも長くバスケットボールを現役でやっていたいですね。何歳までかは、決めません。やれるだけやりたい。設定すると、そこで終わりになってしまいそうですから。これからも一段一段、階段を上がって、成長したいと思っています。
──CSに向けて改めて意気込みを。
今まで以上に一戦一戦を大事に、すべてを出し尽くし、チーム全員で戦って優勝したいと思います。
※週刊朝日 2017年5月19日号より抜粋