とはいえ、最近になってあらためて、“俳優としての目標を持つこと”を自分に課しているという。
「いつか『近松心中物語』をやれるよう、いろんな知識や芸を蓄積したいと思っています。俳優は基本、役が来るのを待つ仕事だけれど、目標を持てばそれに向かって普段から努力を積み重ねることができるので」
そんな平さんが、今年新たに挑戦するのが、17世紀フランス文学の金字塔とされる「フェードル」だ。
「最初に台本を読んだときは、大竹しのぶさん演じるフェードルが悪い、怖い女だと感じていたのが、稽古を重ねるうちに、フェードルの愛は純粋なんじゃないかと思えてきた。古典演劇からは、善悪だけで判断できない人間の奥行きのようなものが感じられます。それが、時代や国境を超えた、作品の普遍的な魅力につながっているのかもしれないですね」
※週刊朝日 2017年4月7日号