社会はどう変わり、テクノロジーの進歩は人類を幸せにするのか。現在のデータに基づき、週刊朝日が100周年を迎える5年後を各界の専門家に予測してもらった。今回は「CD」をテーマに送る。
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「CDの媒体としての役割はもう終わっています」
と語るのは、マーケティングコンサルタントの西川りゅうじん氏。5年後にはCD消滅という事態が訪れることもありうるという。
日本レコード協会によると、2015年の音楽ソフトの生産額と有料音楽配信の売上額の合計は、1998年の約半分、3015億円まで減少。音楽を楽しむのは、動画サイトや定額配信という層は増えている。
だが、日本の事情を考慮すると未来は変わってくる。世界ではデジタルの売り上げがCDなどのソフトを上回っているものの、日本ではまだ約8割をソフトが占めている。CDチャートは、アイドルや声優・アニソンなどが上位を占めており、熱いファンに支えられている市場なのだ。
音楽評論家・宗像明将氏は、アイドル市場は5年先もまだまだ健在だと見る。
「主役は、欅坂46になっているかも。秋元康さんなら、20年のオリンピックに合わせた展開のみならず、その先も考えているでしょう。アイドルを応援する文化は定着しています」
そのうえで、宗像氏は、CDの未来をこう語る。
「今より値段の高い嗜好品となっている可能性はある。グッズとして全種類持っていたいモノへ。モノへの思いは普遍的ですから」
一方、前出の西川氏は、コンサートやライブの「体験消費」が人気を呼ぶ現象と、CDの関係性を説明する。
「CDはもはや『応募券』。生の感動を得るために、CDを買う。体験消費が倍々で伸びている流れの一環です」
ただ「音楽を聴く」という本来の役割を失うと、危うい側面もあるという。
「CDの売り上げに代わる、ライブ動員数やグッズの売り上げなど人気と実力の実態を表す別の指標が確立したとき、応募券はCDに付ける必要がなくなる。Tシャツやお菓子など何に付けてもいいわけですから」
CDが消滅してしまうかもしれない2022年。カセットテープは、演歌ファンの高齢者がいる限り、媒体として現役だったりするかも!?
※週刊朝日 2017年3月17日号