この医院には同クリニックの診察を不審に思って相談を持ち込む患者が多く、院長が知人を介して連絡した医療問題弁護団に対策チームが立ち上がったのは2013年夏だった。弁護団の服部功志弁護士は「7人から相談を受け、2人が民事提訴しました。家族や職場に絶対知られたくないと泣き始めてしまった女性もいました」。

 弁護団に相談した患者の訴訟と前出の60代男性による本人訴訟は、いずれも最高裁の決定で林容疑者に賠償金の支払いを命じている。新宿区の保健所によると、14年度から16年度にかけて9件の苦情があり、15年11月には、同クリニックに対し、医療法の規定に基づき改善指導をした。

 林容疑者は逮捕当時、容疑を否認したという。「被害者の方々はこういう医師を野放しにするのはよくないと、勇気を出して動いている」(服部弁護士)。一刻も早い事件の解明が待たれる。

週刊朝日 2017年2月10日号