レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムも大好きでしたし、ハードコアパンクばかり聴いていた時期もありました。他にはアイアン・メイデンやセックス・ピストルズ、デビッド・ボウイ……そういったものの組み合わせで、今の僕のスタイルができあがっていったんだと思います。
〈時にはステージ上で倒れ込んでしまうほど、激しくかつ魅せるプレイが、YOSHIKIのドラムのスタイルとして知られている〉
けっこう、破壊的なドラミングが好きなんですよね(笑)。心の叫びをぶつけているというわけでもないんですけれど。
ムダなたたき方はしていない。基本的には一番大きな音、一番強烈で、攻撃的な音が出るような動きで、常に思いきりたたくんです。僕がいつも使っている「クリスタルドラム」は、木やファイバー製のものに比べて、ほとんど鳴らないんですよ。逆に言えば、僕が普通のドラムセットでたたくと、音がデカすぎて、耳栓ナシでは自分の耳がもたないです(笑)。右手首もずっと腱鞘炎なのですが、これはもう、どんなに管理してもしょうがない。ピアニストも腱鞘炎の人は多いですし、職業病ですよね。この音を得るためには、犠牲にしなければならないものがあると。
〈自由だと思っていたロックに不自由さを感じた〉
影響を受けた音楽やアーティストのスタイルを混ぜこぜでやってたら、いろんな人が、「何やってんの。ひとつのジャンルにしなさい」と言うんです。「こんなに自由なものなんだ!」って僕が憧れていたロック、ロックってもっと自由なものじゃないの?という疑問が生まれたんです。
ビジュアル系として、「格好ばかり意識して」とか、「音楽的には何も要素がない」とかたたかれたこともあったんですね。「え? 待って。たぶん僕はみんなの10倍音楽よく知ってるよ」って。そのときに、一度投げ捨てたようになっていたクラシックの出番かな、みたいなところがありまして。それから僕の中でロックとクラシックが同時進行していくわけですよね。
メジャーデビュー前、まだ僕も他の「X」のメンバーも、髪をツノのように立てていた時期、あるライブハウスのステージ上にピアノがあったんですね。構造上動かせないというので、じゃあ使おうと。曲の合間に、確かバッハを弾いたんですよ。頭にツノ立てた人が、そんな曲を弾く。それが意外にウケたんで。あ、これもアリなんだと。それまで激しい曲ばかりだったところから、初めて作ったバラードが「ENDLESS RAIN」でした。