出羽教授は「亡くなる前日の検査データから総合的に判断すると、死因は急性心筋梗塞ではなく、筋挫滅に伴って腎不全を起こし、さらに肝不全、呼吸不全を起こした多臓器不全です。つまり、取り調べ時の暴行が原因になったとしか考えられないのです」と主張。
一方、奈良県警は訴訟で、「暴行は一切ない」と全面否定し、右ひざ下に残っていた大きなあざについては、「床にあぐらをかいて座る際、右ひざを折り曲げながら地面に落とすように座り、床に打ち付けられるような形となった」などと反論。だが、出羽教授は「尻にまったくあざがないのは不自然」と指摘する。
奈良県警は本誌に対し「告発の相談を受けたが、受理を検討中」と回答。出羽教授はこう述べる。
「法医学者の使命感から告発を決断した。事件を再検証し、時津風部屋の事件と同様、適正な処理がなされることを期待したい」
※週刊朝日 2016年12月2日号