妻:私、こう見えて、考え方に古風なところがあるんですよ。母のことも私がなんとかしなきゃ!って思ってましたし、元夫はミュージシャンだったのに、事務所の社長になってもらった。彼を私の人生に巻き込んでしまった、っていう責任も感じてました。

夫:人にも厳しいけど、自分にも厳しいよね。

妻:この人にも「私、絶対に離婚はしない」って言い続けてたんです。

夫:僕はそれでもかまわない。3人で仲良くやればいいじゃない、と。

妻:そりゃ、だめでしょう!(笑)。でも、その一方で、前の結婚がとっくに破綻(はたん)していることも、心の中ではわかってたんです。でも、それを認めたくない自分もいて。

夫:そうこうするうち、僕が彼女のマネジャーをやることになった。

妻:はからずも、元夫が社長、私がタレント、彼がマネジャーっていう「3人で仲良く」体制になっちゃった。私もずるいんですよ。自分から離婚は言いたくない。元夫から別れようって言ってくれないかな、と。

夫:僕らの関係に、旦那さんも気がついてたでしょうしね。

妻:同時に、もう一度、元夫ときちんとやり直せないか、とも真剣に考えました。でも、自分の気持ちにうそはつけない。だから、ついに夫から「いいかげん、別居したほうがいいだろう」って言われたときは、本当に肩の荷が下りた気がしました。

夫:結局、同居していたお母さんも出ていったしね。

妻:母との軋轢(あつれき)が本当に激しくて。このまま一緒にいたら、お互いダメになる。だから、周囲から何と言われてもいい、同居は解消しようと。それで母は妹が引き取ったんです。

夫:離婚はしたものの、なかなか僕とは結婚してもらえませんで(笑)。

妻:前の人と別れたから、はい次、とはいきませんよ。だいたい、私はこの人のこと、まだ認めてませんでしたから。

夫:あはは。

妻:離婚後、自分をリセットしようと、思い切ってマンションを買ったんです。ちょっと無理をしてね。そうやって自分を追い込んで、仕事に邁進しようと。そしたらこの人、するっと入ってきて、そこから同棲。

夫:仕事では、彼女が社長で僕が従業員。彼女がタレントで、僕、マネジャー。でも、家へ帰ったら、まったく僕、家事しないんです。

妻:掃除、洗濯、料理。全部私が。

夫:それもきっちり、やってくれるんですよ。

妻:ちゃんとしないと、気が済まないの! でも、この人が突然、大変な病気をしたときは慌てましたね。

夫:ある朝突然、半身まひ。

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