メーターを交換する東京電力パワーグリッドの広報担当者は遅れの原因について、「切り替えの件数が当初の想定を大幅に超えてしまい、工事力を確保できなかった」と話す。
メーター設置の遅れに加え、東電は検針システムのトラブルも起こした。
契約先を切り替えた場合でも、電力の計測は東電のシステムを使う。計測された使用量は切り替え先の新電力へ通知されるが、システムトラブルで正しいデータを送れなくなった。
新電力は迷惑顔だ。ある新電力の顧客には、データの誤りで実際の10倍ほどの使用量の請求が来たケースもあった。「そんなに使うはずない」と調べたら、誤りがわかったという。
新電力の担当者は「本来は必要のないクレームが当社のコールセンターに来るが、対応せざるを得ない」と不満を打ち明ける。
東電の発表によると、使用量データの通知の遅れは8月19日時点で約1・9万件発生しているという。
東電は6月、電力・ガス取引監視等委員会から業務改善勧告を受けている。広報担当者は「1千人規模の体制で託送システムの改善にあたり、2週間に1回検証している」と話す。
東電の不手際が、動き始めた電力自由化に水を差したのは残念だった。
※週刊朝日 2016年9月9日号