胃がん検診の内視鏡検査 (c)朝日新聞社
胃がん検診の内視鏡検査 (c)朝日新聞社
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 早期の発見・治療に役立つと言われるがん検診。ただ、有効性に疑問を唱える専門家もいて、受診に疑問を感じる人もいる。弊誌は先週に続き、医師向けの情報サイト「MedPeer(メドピア)」の運営会社の協力を得て、現役医師526人の受診実態を調査。対象は胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がん、その他のがんの6種で、受診の有無や理由を聞いた。

 その結果、受診者が最も多かったのは胃がんの検診で、回答者の32%の168人。次いで、大腸がんが29%の154人、肺がんが22%の116人。40代以上に限ると、胃がん39%、大腸がん35%、肺がん27%だった。

 女性では、回答した63人中、子宮頸がんの検診が43%の27人、乳がんが27%の17人だった。

 がんの罹患者は40代から増える。職場や自治体が実施する検診の推奨年齢でもあり、40代から受ける医師が多いようだ。女性は子宮頸がんの検診を受ける30代が多かった。このがんは他のがんより発症年齢が低く、20代でもリスクがある。このため、早期受診していると思われる。

 国立がん研究センターによると、胃がんの罹患者数は男性の1位、女性の3位、大腸がんは男女ともに2位。早期の発見と治療で、生存率は大きく変わる。最も早期の「I期」で治療すると、5年生存率はともに95%以上。見つける手段があり、早期治療の成績もよいため、受診する医師が多いとみられる。

 参考までに、国民生活基礎調査(2013年)でみた受診率は、胃がん37%、大腸がん35%、肺がん39%。子宮頸がんは28%、乳がんは27%。調査規模や方法の違いで一律に比べられないが、今回の結果は国民の平均と大差なさそうだ。

 がん検診は、職場や市町村が実施する対策型検診(集団検診)と、個人が人間ドックなどで受ける任意型検診の2種類ある。

 厚生労働省は「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」を定め、市町村の検診を推進している。対象は胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんの5種類。これまでの研究で、“死亡率減少の効果”“不利益が利益より小さい”などと認められた検診だ。今年改定された指針では、X線検査が長年推奨されてきた胃がんについて、50歳以上は内視鏡も選べるようになった。

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