「いくら人格は別でも、安倍首相の妻であることを切り離して考えることなんてできない。精神的にショックを受けた人もいます」

 現場は緊迫のさなかにある。政府は参院選が終わるとすぐに、およそ2年間中断していた工事を再開。全国から500人の機動隊が投入され、座り込む反対派の人々を排除してケガ人も出ている。昭恵さんの現地滞在時間は15分ほど。混乱に巻き込まれるようなこともなかった。

 幸い事なきを得たが、昭恵さんは、前回参院選で自民党候補の島尻安伊子氏の応援演説に立ち、涙ながらに「夫は独裁者ではない」と絶叫した身だ。原発や育児支援政策などで対立する主張を展開して話題になることも少なくないとはいえ、今回のような言動と首相の妻としての顔との使い分けに矛盾を感じないのか。

 脱原発で協調する環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長は、こう話す。

「昭恵さんは天真爛漫な方で裏の意図はなく、率直に行動されていると思う。ただ今回は、高江の人々の心情にもう少し配慮がほしかった。政治権力トップのファーストレディーという立場であり、訪問前に地域で運動する人々に検討してもらう慎重さが必要でした」

 昭恵さんは「主人の届かないところに行く」と公言。その行動は結果的に政権のイメージアップにつながる。安倍首相周辺は“最大の補完勢力”とたたえている。

週刊朝日  2016年8月26日号

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