「当時は『自分の意見を持つことから始めよう』というスタンスで、公園に集まって各自の意見を話し合っていた。当時のメンバーは旧来型のデモに懐疑的で、私も『闇雲にデモをするより正しい知識を得たほうがいい』と話したのを覚えています」
13年12月、同じメンバーらが特定秘密保護法に反対する「SASPL(サスプル)」を結成した。
「デモを主催し始めたのはこのころで、奥田君が中心になって試行錯誤しながら、今の形ができていった。ただデモをするだけでなく、既存の市民運動や都知事選候補者の選対などに個々のメンバーが参加して良い点悪い点を学び、特定秘密保護法についても、専門的な知識で議論できるメンバーを育てていたのに驚きました」(おしどり氏)
SASPLを経て、誕生したのがSEALDs。こう考えると、解散も一つの過程にすぎないのかもしれない。前出の諏訪原氏は解散についてこう語った。
「僕の理想は改憲勢力に3分の2をとられることを阻止した上で、いったんそれぞれのメンバーが自分のフィールドでやっていくこと。今後、必要が出てきたときに、みんなまた戻ってくればいい。それまでは各自が社会とのつながりをつくっておいたほうが、厚みが出て強いと思うんです」
若者たちの戦いは終わらないのだ。(本誌・小泉耕平)
※週刊朝日 2016年7月8日号