金融緩和による円安で輸出企業の業績を押し上げ、日経平均株価を上げて好景気を演出するのが「アベノミクス」だ。ところが、リスクを嫌うマネーが日本円を買う局面が続いては、黒田バズーカを何発撃とうが効果は薄い。輸出企業の稼ぎや株高による資産効果をあてにしたアベノミクスは、円安の基調が変わることで崩壊の危機にある。
経済アナリスト、豊島逸夫氏は言う。
「どこまで日銀が対抗できるかですが、経済有事として世界から集まるマネーの潮流には日銀は勝てない。相手は世界、なんです。津波に向かって慌てて防波堤を造っているようなもの。よりによって参院選のど真ん中で起こった。アベノミクスの是非を問う選挙の論戦にも影響するはずです。こういうときこそ、政府のリーダーシップ、危機管理能力が問われる」
安倍首相が言うように、「この道を。力強く、前へ」「ふかして」行けば、道連れとなる国民に非常に厳しい現実が待ち構えているかもしれない。
※週刊朝日 2016年7月8日号より抜粋